【No.335】SINNの哲学が息づいた103シリーズの最上級モデル 103.TI.DIAPAL
皆さん、こんにちは。ジン・デポ 渋谷の小出です。
いつもブログをお読み頂き誠にありがとうございます。
今日は、SINNの哲学が息づいた103シリーズの中で最上級モデルの103.TI.DIAPALをご紹介します。
DIAPAL/ディアパル
脱進機をオイルフリーにした技術
ディアパルとは、金属と金属の硬度の違いで摩擦を減らす技術で、真空状態ではオイルが使えないために開発されたNASA(アメリカ航空宇宙局)の技術の応用です。ジンでは時計の精度を保つために最も重要な脱進機のガンギ車とツメ石の噛み合わせの部分に改良を加えたディアパルを採用し、オイルを使った時と同じ状態(摩擦係数0.03)を保つことができるようなりました。このことにより機械の耐久性を高めるとともに、通常3〜4年ごとのオーバーホールのインターバルを6〜8年へと伸ばすことが可能となった画期的な新技術です。
もともとディアパルとはダイヤモンドパレット(仏語:Diamant palette/ダイヤモンド製ツメ石)の略語で、ジンでは1995年から研究・開発を続け、当初はツメ石の部分にダイヤモンドを使い真鍮のガンギ車との硬さの違いを作り摩擦を減らすものでした。現在ではさらに進化を重ね、ダイヤモンドではなく新素材が使用されており名前だけが残ったというわけです。ダイヤモンドに代わる人工ルビーをツメ石部分に使い、スチール製のガンギ車にはダイヤモンドとシリコンパウダーを浸炭加工により定着させた物を用いています。このことによりパーツの強度を高めるとともに、この技術で最も重要な硬度の違いのバランスを理想的な状態に保つことが出来るようになったのです。
2000年には最初の特許を申請して、アトランダムに選択した200個のモデルに試験的に搭載しましたが、この部分の故障は一切なくすべて正常に稼動していました。そして2001年には会社創立40周年を記念して、限定生産の18Kホワイトゴールド製フランクフルト・ファイナンシャル・ウオッチであるモデル6000に初めて搭載されたのです。ジンの社長であり、かつ機構設計分野のディプロムエンジニア(工学士)でもあるローター・シュミット氏の絶えざる新しい技術開発によって時計の信頼性の向上を図っているのです。
DIAPAL/ディアパルのイメージ図です。
スイス・レバー・エスケープメント(脱進機)の比較です。オイルを使用しない場合、機能するのは最大3カ月です。標準的な潤滑オイルでは、3〜5年で顕著に振幅が低下します。この期間、ディアパルを搭載した脱進機はまだ問題なく機能しています。
見えにくいですが、赤丸で囲ったガンギ車に「DIAPAL」の刻印を確認できます。
1961年の創業以来、ジン社は高品質の機械式時計に全力を注いできました。エンジニアのローター・シュミット氏が、1994年に創業者のヘルムート・ジン氏からジン社を引き継いだとき、ジンのテクノロジーの新時代が幕を開けました。ジンが実現した数々の革新は、驚嘆するものばかりです。“ジン・テクノロジー”と名付けたユニークな技術開発には今回ご紹介した、長期にわたり精度を安定させる「ディアパル」以外にも、以下のようなテクノロジーが103.TI.DIAPALには採用されています。
〈Arドライテクノロジー〉
時計を湿気から守る除湿機構の「Arドライテクノロジー」を採用しています。機械式時計は、それぞれのパーツが円滑に動くよう潤滑オイルが使用されています。時計ケース内部の空気に含まれている湿気によりこの潤滑オイルが劣化すると精度に悪影響をおよぼします。Arドライテクノロジーは、時計ケース内の湿気を吸収する「ドライカプセル」の搭載、時計ケース内に希ガスと呼ばれる極めて安定した「プロテクトガス」を充填、通常のパッキンより水分浸透を最大で25%削減する「EDRパッキン」の採用という「3つの技術的要素」により、時計ケース内はほぼ無水の環境となります。ドライカプセルに吸収された水分量が増すにつれて、淡いライトブルーからネイビーブルーへと色が変化します。
開発当初はアルゴンガスを充填していましたが、現在はアップデートされ別の安定した不活性ガスであるプロテクトガスが充填されています。文字盤のArのマークは当時のアルゴン(Argon)の名残であり、プロテクトガス封入の証です。
〈決して外れない回転ベゼル〉
パイロットグローブを着用したままでも操作しやすい「特殊結合方式の回転ベセル」を採用しています。ネジがお分かりになると思います。これは4箇所にあります。1箇所はCリングを止めるネジです。残り3箇所は中のブレードを時計ケースの溝にはさみ込んでいます。これが「特殊結合方式の回転ベゼル」です。はめ込み式の回転ベゼルのように、何かにぶつけて回転ベゼルが外れるという事故は起こり得ません。
〈衝撃のジン特殊オイル66-228〉
機械式時計のムーブメントに使用されている潤滑オイルは、通常-25℃で粘性が高くなり時計の精度が維持できなくなりますが、ジン社開発の「ジン特殊オイル66-228」は-66℃まで粘性を維持し+228℃まで蒸発が起きません。このオイルの使用により急激な温度変化に耐え、-45℃から+80℃の温度範囲でDIN(ドイツ工業規格)の定めた刻時精度の維持を可能にしました。
〈コラムホイール搭載 ハイグレード ムーブメント〉
直径41mm、厚さ17mmの時計ケースには、ラ・ジュー・ペレ LJP8000(自動巻/28石/28,800振動/パワーリザーブ42時間)を搭載しています。もちろんSINN社にてリファイン、チューンナップされており、正確に時を刻みます。時計の重量はわずか69g(ベルトを除く)です。耐磁性能はドイツ工業規格DIN8309で4,800A/mで、防水性能はドイツ工業規格DIN8310で20気圧(200m)防水です。
〈グレード2のピュアチタンケース〉
時計ケースには、「グレード2」の純チタンを採用しています。ステンレスに比べて重量が軽い、錆びにくい、金属アレルギーを起こしにくい、といった多くの利点があります。裏蓋にはドイツ語で「REINTITAN」、英語でいうところの「pure titanium」、日本語で「純チタン」ですね。
ちなみに、時計ケースに採用されるチタンは「グレード2」と「グレード5」の2種類があります。「グレード2」が純チタン、「グレード5」がチタンに他の金属を混ぜたチタン合金です。
品質としては、混ぜものをしていない「グレード2」が優れていますが、加工がしづらいといった側面があります。チタン合金の「グレード5」は、サテン仕上げやポリッシュ仕上げといった加工が可能で、高級感を出したいモデルに採用されているようです。現在においては「グレード5」でも、チタンとしての特性は「グレード2」とほとんど遜色がありません。
〈スーパールミノバ発光〉
長短針、クロノグラフの秒針、インデックス、回転ベゼルのポイントには、スーパールミノバによる夜光処理により暗所でも視認性が確保されています。スーパールミノバは、屋外では太陽光のもとで瞬時にフルチャージされます。曇りや雨の日は30秒ほどかかります。屋内では蛍光灯(昼白色や昼光色)のもとで、30分ほどでフルチャージされます。ただしオレンジっぽく温かみのある光の色(電球色)では、なかなかチャージされません。暗所での発光時間はおよそ2~3時間です。
〈オーバーホールのインターバルを通常の約2倍へ〉
ディアパルは、時計のムーブメント全体の精度に大きな影響を与える脱進機の重要な構成要素であるガンギ車に特殊な素材を採用することで、潤滑オイルを使用しなくても部品同士が摩擦を起こさずに作動し、長期間にわたりムーブメントの精度を保つことができる技術です。ディアパルの採用で、オイルを使った時と同じ状態を保ちます。SINNは1995年以来、多くの素材を組み合わせてテストを行い、2000年には最初の特許を申請。2001年にモデル6000.JUBで初めてこの技術を搭載しました。これにより、オーバーホールのインターバルを通常の約2倍へと伸ばすことが可能となったシステムです。
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2022年6月11日/小出