【No.025】EZMの血統を受け継ぐ者
こんにちは、ジン・デポ 渋谷の小出です。
今日はEZMシリーズの中でも、僕がコレは凄い!と感じたEZM13をご紹介します。
1998年ジンは特殊部隊が計測機器として使用する時計を開発する展開に向けてあらたな一歩を踏み出しました。それがEZM(アインザッツ・ツァイト・メッサー)シリーズの開発です。アインザッツは、危険をおかす出撃・出動を意味し、ツァイトは時刻、メッサーは計測機器を意味します。時計の形に言い換えれば出撃用計測機器となります。
このコンセプトはパイロットクロノグラフの開発時から一貫する「使うためだけの時計」作りというフィロソフィーの延長線上に見えてきた時計でした。特殊な職業といえば警察や軍の特殊部隊がありますが、一言で特殊部隊といってもその活躍する部隊は、海、空、陸上などさまざまな問題がからみあう場で、そこで使用される時計の使用目的や環境も全く異なっており、必要とされる機能やスペックにも違いがあります。
そのためまずその部隊ではどの機能が必要かを探すことから開発が始まりました。言い換えればどの機能が不必要かと言うことです。成功する選択肢しか許されない彼らの最高のパートナーとなるため、ヒューマンエラーを徹底的に排除したデザインと機能性、それこそが計測機器の原点とも言えるのです。
これまでに税関特殊戦闘部隊(EZM1)、国境警備隊ダイバー部隊(EZM2)、警察特殊部隊(EZM3)、消防レスキュー部隊(EZM4)の制式時計を開発して、2020年の現在、EZM16までが発売されて来たのです。
model EZM1
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1997年、ドイツは組織的犯罪グループや密輸組織を取り締まる税関スタッフを守るために、特殊部隊の“Zentrale Unterstuetzungsgruppe Zoll(中央支援グループ。ZUZ)”を組織しました。税関取り締まりの際に予想される銃撃などの過激な抵抗に対応することが彼らの任務なのです。
1999年に発売された文字盤の6時位置にArのマークが入った第三世代の一般市販用のモデルです。仕様は税関局中央支援グループの特殊部隊用と同様で、直径40.0㎜、厚さ16.5㎜のグレード2のチタン・ケースにレマニア製のCal.5100(17石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約48時間)を搭載しています。標準ベルトはラバーでした。アルゴンガス充填、ドライカプセル採用、ジン特殊オイル66-228を使用しています。300m防水。なおCal.5100は本来、日付と曜日表示、24時間表示、スモールセコンドを備えていますが、これらは取り除かれました。
model EZM2
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1972年、ミュンヘン・オリンピックの選手村でパレスチナ過激派による襲撃事件が発生しました。その最悪な結末からドイツは対テロリズム対策部隊のGSG9を結成したのです。そして彼らのリクエストに基づいて最強のダイバーズ・ウオッチが誕生しました。
1997年にGSG9用に開発されたEZM2の第二世代モデルです。ケース内部にシリコンオイルを充填するハイドロ・テクノロジーによって、5000mという高い防水性を持ちます。またオイルと風防のサファイアクリスタルの屈折率がほぼ同じであることから、風防がないように見え、さらに文字盤表面はオイルによって光の乱反射がありません。このため非常にクリアに時刻を読み取ることが可能になったのです。文字盤にはハイドロテクニックのロゴが入れられました。秒針や日付、文字盤に記されたロゴやマークはダークレッドに統一されました。この色は水中では見えないため、ダイバーは潜水中は時分針とインデックスのみを確認できるのです。標準ベルトはシャークスキンでした。逆回転防止ベゼルを備えた直径41.0㎜、厚さ11.4㎜のSSケースにETA製クォーツのCal.955.612を搭載しています。
model EZM3
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ドイツ警察特殊部隊が任務を遂行するために必要な機能は何か。これを徹底的に調査し、さらに誤操作が発生しないデザインと、苛酷な条件下での耐久性を追求して誕生した一切の無駄がない「究極の計時機器」です。
2001年発売の500m防水のダイバーズ・ウオッチです。EZMの特徴である9時位置にリュウズを設けたケースに逆回転防止ベゼルを備えています。軟磁性素材の軟鉄をムーブメントホルダー、裏蓋、文字盤に使用して80,000A/mまでの耐磁性能を保証するマグネチック・フィールド・プロテクションを装備しています。標準ベルトはシャークスキンでした。アルゴンガス充填、ドライカプセル採用、ジン特殊オイル66-228を使用しています。ケースは直径41㎜、厚さ13㎜のSS製で、自動巻きのETA Cal.2824-2(25石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約38時間)を搭載しています。
model EZM4
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消防と救助のプロフェッショナルのために開発されたEZM4は、文字盤に記された赤と黄色に色分けされた30分目盛りがそのミッションを象徴しています。彼らに不可欠な装備品であるSCBA(自給式呼吸器)の使用を前提に開発されたのです。
ドイツの消防専門誌と共に開発が進められ、2000年7月にフランクフルト消防隊・特殊救助部隊に採用されました。モデル157がベースとなっています。直径40㎜、厚さ15㎜のSSケースに自動巻きクロノグラフのレマニア製Cal.5100(17石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約48時間)を搭載しています。ジン特殊オイル66-228を使用しています。防水性能は200mです。中央にクロノグラフ秒針と飛行機マークが付いた60分積算針を備え、3時位置にスモールセコンド、9時位置に日付と曜日表示を配置しています。また文字盤外周には救助した怪我人の脈拍を計るためにパルスメーターを備えています。ラグがなく、SSブレスレットはケースに結合されたように装着されています。
model EZM13
ブレスレット仕様 ¥460,000(税別)
シリコンベルト仕様 ¥445,000(税別)
EZM13は、プロフェッショナル・ダイバー向けに2014年に発売されました。500mの防水・耐圧性能を持ち、第三者認証機関であるDNV GLが行った温度変化に対する精度・性能テストに合格しました。自動巻きクロノグラフ・ムーブメントのETA Cal.7750の設計をベースにジンで設計したCal.SZ02(25石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約46時間)を採用しています。Cal.7750との違いは分積算計を30分ではなく60分に変更した点で、6時位置に大きなサブダイアルで表示されています。ケースは直径41㎜、厚さ15㎜のSS製で、逆回転防止ベゼルが特殊結合方式で取り付けられています。
【ムーブメント】
- Sinn SZ02(自動巻/25石/28,800振動)
- マグネチック・フィールド・プロテクションにより80,000A/mまで磁気防護
- 特殊オイル66-228(-45℃から+80℃での精度保証)
【機能】
- 時・分・秒(スモールセコンド)
- クロノグラフ(60分積算計)
- デイト表示
【ケース・ベルト】
- ケース:ステンレススチール
- ベルト:シリコンストラップまたはステンレススチールブレスレット
- 風防:両面無反射サファイアクリスタル
- 特殊結合方式の逆回転防止ベゼル
- リューズ:ねじ込み式
- プッシュボタン:ガード付き
- 裏蓋:ステンレススチール、ねじ込み式
- 防水性能:50気圧防水
- 負圧耐性
- Arドライテクノロジー搭載
【サイズ・重量】
- ケースサイズ:直径41mm×厚さ15mm
- 重量:98g(ベルトを除く)
- ベルト幅:20mm
【その他】
- 保証期間:3年
- DNV GLによる500m(50気圧)までの耐圧保証
- 欧州ダイバー器具規格EN250/EN14143に基づきDNV GLにより認定
DNV GLは、技術的な試験認証サービス、船級および関連ソフトウェア、並びにエネルギー、オイル、ガス、海事の各産業における第三者コンサルティングを提供する、世界最大級の船級・認証機関です。 2013年9月に、ノルウェーのオスロに本拠地を置く船級機関DNV(Det Norske Veritas=DNV)とドイツのハンブルクに本拠地を置く船級機関ゲルマニア・ロイド(Germanischen Lloyd=GL)が合併して設立されましたが、元になった組織は、どちらも海運業において150年以上にも上る歴史を有しています。DNV GLは世界100ヵ国を越える300か所に拠点を構え、16,000名のスタッフを有する世界最大級の船級協会というだけでなく、管理システムの認証においても、世界三大認証機関のひとつに数えられます。
ドイツ税関中央局特殊部隊ZUZの要請に応えて視認性に特化したEZM1と、ドイツ警察特殊部隊が必要な機能を徹底的に追求した計測機器のEZM3。
EZM13はこの2モデルの血統を受け継ぎ、極限的状況でも最高の精度とパフォーマンスを保証するタイムピースです。
写真/Sinn Spezialuhren GmbH、WPPアーカイブス
2020年3月16日/小出