【No.026】先週末のジン・デポ渋谷3月編

こんにちは ジン・デポ渋谷スタッフの今野です。先週末はなんと雪!この時期の雪はちょっと驚き、前日暖かかっただけに余計寒さを感じました。

収束の気配がないどころか、益々拡大するコロナウイルス感染、皆さま体調はいかがでしょうか?スタッフは全員元気で勤務しています。久野 譜也 筑波大学教授によりますと、手洗いや消毒等に加え、免疫力を高めることが重要であるとのこと。免疫力は「運動、睡眠」「食事」そしてなんと「笑顔」によって維持・向上することができるとのことです。ジン・デポ渋谷スタッフは毎日免疫力を上げるため、渋谷の坂道をウオーキングしつつ美味しいランチ、スタッフ同士のコミュニケーションは常に笑顔で!

 

さて、今日はU2のベゼル修理風景をご紹介します。購入から10年以上経過したU2のベゼル、逆回転防止が機能しなくなったので修理します。

まずはUシリーズの売りである「特殊結合方式回転ベゼル」を外します。

3か所で止まっているネジを外すのですが、とても固くて外すのは技術者泣かせ。手前に見える2つが現在逆回転防止機能として使われているパーツです。

どちらのパーツを使うかは、ベゼルを外してみないと分かりません。どちらが合うのか分からないので、両方用意してもらいました。

ベゼルが無事に外れました。

矢印の部分が逆回転防止機能です。金色のピンの下にスプリングが入っていて、ベゼルが回るとピンを押し上げて逆回転を抑えます。ピンは円柱でなく、上部に切り欠き加工がしてあります。その片方にはバンクが付いて、片方はスクエアです。回転方向側からだとベゼル側突起は引っ掛からずピンは押されて沈み、突起が通過するとスプリングで押し上げられます。逆方向からだと引っ掛かってしまうという仕組みです。これによって逆回転を防止しているという訳です。

 

前の写真のアップで分かり難いかもしれませんが、ピンが摩耗したのと、スプリングの劣化で逆回転するようになってしまいました。

前の写真で分かるようにピンの削粉が残っているので、刷毛できれいに取り除きます。

逆回転防止パーツ、今回はこちらのタイプが適合でした。ピンとスプリングを抜いた場所に合わせてセットします。反時計回りに反り立ったパーツが逆回転を防止します。

脱落防止のネジには万が一を考えて接着剤を塗布します。これまた超細かい作業!

きっちりとねじ込みます。

無事に作業終了、逆回転しなくなりました。って、ここは動画で撮るべきでしたw

 

技術者滞在時ならではの修理光景です。ベルトの交換なら僕にもできますが、さすがにこれは無理ですw 今回は事前に症状が分かっていたので対応できましたが、通常はお預かり → 見積もり → 修理許諾 → 修理 が、原則ですのでご了承ください。

経年劣化による不具合はどんな機械でも避けられません。決して安い買い物ではありませんので、長く使っていただきたいと思います。不具合を感じたら放置せず、早目のご相談をお勧めいたします。それが長きに渡ってお使いいただく秘訣だと思います。今回のケースはベゼルですので時計本体の機能ではないとはいえ、潜水中に何らかの理由で逆回転したら逆回転防止機能の意味がありません。時計はそれ本来の機能を果たしてこそ価値があるもの、常に本来の姿で使いたいものです。

 

先週末入荷モデルをご紹介します。

世界300本限定のEZM12です。オープン時に1本ありましたが、即売れてしまい欠品中でした。先週末ようやく入荷しました。

EZM12はドクターヘリ救急医師向けに開発、その機能がこの1本に集約されています。

【ムーブメント】

ETA2836-2(自動巻/25石/28,800振動)

マグネチック・フィールド・プロテクションにより80,000A/mまで磁気防護

特殊オイル66-228(-45℃から+80℃での精度保証)

【機能】

時・分・秒(センターセコンド)

パルスローター(心拍数測定用パルスメーター)

デイデイト表示

【ケース・ベルト】

ケース:ステンレススチール(904L、テギメント加工)

ベルト:シリコンストラップ

風防:両面無反射サファイアクリスタル

カウントアップ式インナーベゼル

カウントダウン式両方向回転ベゼル(PVD加工+テギメント加工1200ビッカース)

リューズ:非ねじ込み式

裏蓋:ステンレススチール、ねじ込み式

防水性能:20気圧防水

負圧耐性

Arドライテクノロジー搭載

【サイズ・重量】

ケースサイズ:直径44mm×厚さ14mm

重量:122g(ベルトを除く)

ベルト幅:22mm

【その他】

保証期間:3年

300本までの限定生産

税別本体価格 ¥560,000

 

EZM12、その最大の特徴がパルスローターです。

ヘリの回転翼を彷彿とさせるローター、使い方はこうです。4本あるいずれかのローターが12時位置に来たら脈拍の計測を始め、15回計測します。その時にローター先端にある35~200の数字を読み取ります。この写真のように15回目の計測時が70だったら1分間の脈拍が70という事になります。ちなみに下位置にあるローターで計測した場合の数字、脈拍が35以下だったらかなり危険な状態と判断されます。ちなみに、成人男性の脈拍基準値は60~90です。

次にカウントアップインナーベゼル。重傷外傷患者の決定的治療(手術や止血)を始めるのは早ければ早いほどいいのは当たりまえ。その開始時間1時間が生死を分ける為、その1時間をゴールデンアワーと呼びます。また、受傷後10分をプラチナタイムと呼び、一刻も早く施設へ向かわねばなりません。基本は処置を最小限度に留め、5分以内に現場を出発することが求められます。

次にカウントダウンアウターベゼル、これでリミットタイムを設定します。手術や止血開始限界、投薬の限界等があと何分かを設定し、分針が▽を過ぎると、目標設定タイムをオーバーしたと判断します。

最後に簡単に外せるベゼルとストラップ。治療中に汚れてしまった後、ストラップとベゼルは外して洗浄することが出来ます。ストラップは工具を使うことなく簡単に外れ、ベゼルは付属の工具で簡単に取り外しができます。どちらも消毒剤にも耐えうる素材でできているなど、使うだけでなくメンテナンスも考えられた設計です。

EZM12には救急救命において、救命士が必要な情報を的確に与えてくれる仕組みが搭載されています。

なんだかこう書くと、「救命士じゃなければ必要ないじゃん!」と思われてしまうかもしれませんが・・・ 急に具合が悪くなった人の脈拍を見て119番通報、到着した救急隊員に報告できるとか、外せるストラップは単純に汚れたときに洗浄しやすいですし、普段使いとしても優れものと言えるでしょう。なによりも・・・ パルスローターは飛行機好きの僕にはたまらなくカッコいいですw

コロナウイルスが収束するのはいつになるのか・・・ 僕達に出来るのはひたすら清潔にすること、免疫力を上げることだけですね。生のニンニクが免疫力を上げる効果があるというのでお休みの日に、

勤務している日には食べられないニンニク増し(ついでに豚マシ野菜マシ)のラーメンを食べてきましたw

2020年3月17日/今野

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