【No.065】対テロリズム特殊部隊GSG9制式採用

皆さん、こんにちは。ジン・デポ 渋谷の小出です。

今日ご紹介するモデルは、出撃用計測機器モデル403.EZM2.GSG9の進化形、モデルUX.EZM2B.GSG9です。

時計ケースにドイツ最新鋭の潜水艦の鋼材Uボート・スチールを使用し、特殊なオイルを時計ケース内全体に充填・封入するジン社独自のハイドロ・テクニックにより驚異の5,000mという高い防水性能を誇ります。

 

 

対テロリズム特殊部隊GSG9とは

1972年のミュンヘンオリンピックでパレスチナ過激派が、イスラエル選手団を人質にし全員を殺害するオリンピック史上最悪の事件が発生しました。ドイツ内務省は事件後、テロに対する特殊部隊設立を議会に提言。一ヵ月に満たない異例の早さでGSG9が設立されたのです。

部隊はドイツ内務省の警察業務局に置かれた連邦国境警備隊に属し、有事の際は首相、内務大臣が直接指令を出せます。ここが他の部隊とは全く異なっています。連邦国境警備隊隊員は通常、国境、空港などの外国との接触がある場所でドイツ連邦内の安全と秩序を維持する任務を負います。

GSG9はさらに通常の任務に加えて、ドイツ各州の警察組織の支援、連邦省庁の支援、国家施設の安全保持、公海上での活動、外国での特殊任務が特別に追加されています。任務内容から隊員には、ダイビング、スカイダイビング、爆弾処理、射撃、通信等すべてにおいてのスペシャリストであることが求められています。

メンバーは内務省の警察局に属す選りすぐりの人材で構成されています。行動部隊員は、身分はもとより、自らの顔を公表することは一切許されず、GSG9という組織の存在だけが知られています。

 

 

model 403.EZM2.3H
1997年 初代モデル参考品)

1997年にGSG9用に開発されたEZM2の初代モデルです。ケース内部にシリコンオイルを充填するハイドロ・テクノロジーによって、5000mという高い防水性を持っています。またオイルと風防のサファイアクリスタルの屈折率がほぼ同じであることから、風防がないように見え、さらに文字盤表面はオイルによって光の乱反射がない。このため非常にクリアに時刻を読み取ることが可能となったのです。

針やインデックスにはトリチウムが塗布され、文字盤にはそれを示す3Hの記号が入れられています。秒針や日付、文字盤に記されたロゴやマークはダークレッドに統一されました。この色は水中では見えないため、ダイバーは潜水中は時分針とインデックスのみを確認できるのです。逆回転防止ベゼルを備えた直径41.0mm、厚さ11.4mmのSSケースにETA製クォーツのCal.955.612を搭載しています。

※本来はブラックのシャークスキンストラップですが、撮影の都合上、カウレザーストラップに変更しています。

 

 

model 403.EZM2
1999年 第2世代モデル(参考品)

1999年に発表された第2世代モデルです。3Hのマークはなくなり、蛍光塗料がトリチウムからスーパールミノバに変更されています。3Hとはhydrogen-3の略で、放射性物質である三重水素、いわゆるトリチウムです。時計業界全体でも1990年代後半には、ほぼ全てのブランドがスーパールミノバへ変更しています。その他のスペックは初代モデルと同様です。

 

 

model 403.EZM2.GSG9
2004年 第3世代モデル(参考品)

2004年に登場した第3世代モデルで、6時位置にGSG9のロゴマークが記され、MADE IN GERMANYの文字が入れられました。逆回転防止ベゼルの仕様が変わり、ステンレススチールに分目盛りを記したアルミニウム製のリングが取り付けられました。ベルトもシリコンストラップに変更されました。このモデルは日本で2005年に放映されたテレビ・ドラマの『海猿』で採用されたことから人気を博しました。

 

 

model UX.EZM2B.GSG9

1997年、ドイツの対テロリズム特殊部隊GSG9の要請により開発され、実戦装備品として納入されたのが403.EZM2.GSG9です。それから10年が過ぎた2007年に後継機として開発されたのが、UX.EZM2B.GSG9です。

 

 

ジン社独自の時計素材であるドイツ最新鋭潜水艦の鋼鉄Uボート・スチールを時計ケースに使用しています。通常、時計ケースには、316Lや904Lといったステンレスが使用されていますが、Uボート・スチールはさらに上を行くXM-19というステンレスを使用しています。

これは海水耐性・耐腐食性が優れているだけでなく、残留磁気を帯びずに反磁気性があり、また表面硬度が非常に高い素材(316ステンレスの約3倍)です。

 

 

リューズは通常と逆の左側に付います。重火器が引っかからないよう安全性を重視した配慮がされており、特殊部隊にとって事故につながる要素を事前に排除することに役立っています。

ケースサイズは直径が44.0mm、厚さが13.3mm。ムーブメントはETA製のクォーツCal.955.652を搭載しています。ロングライフバッテリーで約7年駆動します。5000m防水ですが、負圧耐性も兼ね備えています。船級・認証機関DNV GL(旧ゲルマニア・ロイド)の検定済みです。

 

 

裏蓋は特殊構造で中央に円盤が嵌め込まれています。急激な温度変化が起きるとケース内部の圧力が増減します。また圧力の変化で時計ケース内にある非常に細かい気泡が膨張することがあります。そこで内圧の変化や気泡の発生を抑えるために、円盤がわずかに浮き上がる構造が考案されたのです。

 

 

ジン独自のテクノロジーである特殊結合方式の逆回転防止ベゼルは、岩などにぶつけても決して外れる事はなく、さらにテギメント加工が施され、セラミック以上の1500ビッカースの硬度がありますので、ドライバー等で引っかいたぐらいでは傷はつきません。

 

 

秒針や日付、文字盤に記されたロゴやマークはダークレッドに統一されており、この色は水中では見えないため、ダイバーは潜水中は時分針とインデックスのみを確認できます。航空時計作りで培われた優れた視認性と機能性そして信頼性が、そのまま受け継がれているのです。

 

 

ハイドロ・テクノロジーとは、時計ケース内部全体に特殊なオイルを充填・封入することにより、海水や淡水の外圧に対してまったく同じだけの内圧で押し返すというパスカルの原理の応用です。

空気の入った風船を水中に沈めると水圧で風船は小さくなりますが、水の入った風船はどこまで沈めても大きさは変わりません。

したがって理論上は無限の防水性能ですが、クオーツ・ムーブメントの安全を考慮して5000m防水となっています。時計ケース自体は12,000mの耐圧です。

 

 

また、文字盤の視野角度が飛躍的に向上するという、もうひとつの特徴があります。サファイアガラスとほぼ同等の屈折率を持つこの特殊オイルの効果により、光の反射で視認性が落ちるのを避け、水中であらゆる角度から完璧な視認性を得ることができます。ダイバーズウォッチとして、まさに革新的な技術です。

 

 

上の時計は特殊オイル封入モデル。下の時計は空気が入ったモデルです。
特殊オイルを封入していない下の時計、いわゆる通常の時計はある角度で反射により文字盤が見えなくなります。

 

 

レギュラーモデルのUX.GSG9の他に、ベゼルがブラック(テギメント加工+PVD加工)のUX.SDR.GSG9、時計ケース全体がブラック(テギメント加工+PVD加工)のUX.S.GSG9があります。また、それぞれシリコンストラップ仕様、SSブレスレット仕様も選べます。

 

1997年にモデル403.EZM2.GSG9が制式採用となりました。それから10年が過ぎた2007年に後継機として開発されたのが、モデルUX. EZM2.GSG9です。みずからの発想や技術を存分に採用したこのハイスペック仕様は、まさに生死を左右する対テロリズム特殊部隊GSG9にこそ相応しいモデルです。

 

 

ジン・デポ渋谷のスタッフは、マスクの着用、手洗い、アルコール消毒の徹底、店舗内換気を行い、お客様の安全を最優先に心がけております。

皆さまのお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。
どうぞ宜しくお願い致します。

 

Photo/Sinn Spezialuhren GmbH、Sinn DEPOT, Shibuya

2020年9月21日/小出

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