この時計は、「1800.DAMASZENER」シリーズの第3弾として、限定100本のシリアルナンバー入りで製作されました。鍛造溶接によるダマスカス模様の積層鋼材で作られたこのモデルは、前作の品質の高さをそのまま継承しつつ、このモデルならではの特徴を加え、特殊な素材の魅力を余すことなく表現しています。
通常は時計ケースとダイヤルは独立したパーツとして設計されますが、ダマスカス模様の積層鋼材の独特な風合い、すなわち光と影が交互に織りなす有機的パターンを強調するため、このモデルのケースとダイヤルは一体型で、完全なスチールブロックから作られています。その結果、ダマスカス模様の流れるようなラインがケースからダイヤルにかけて途切れることなく続き、独特で趣のある外観を形成しています。テギメント加工により耐傷性を高めるとともに、さらにPVDを加えたブラック・ハード・コーティングにより、バターンが絶妙な明るさで浮かび上がり、マニッシュな外観が完成しました。
ダマスカス鋼は何世紀にもわたり人類を魅了してきた伝説の鋼で、現代ではそれに代わり積層鍛造されたスチールが刀、ナイフ、剣の生産に使われています。ダマスカス模様の積層鋼材を作る伝統的製法は非常に精緻で、職人技と応用技術の賜物です。異なる種類のスチールを重ねて鍛造溶接し、真っ赤に熱した高温状態で折り畳み、ふたたび重ね合わせます。これは専門用語で「フォールディング」と呼ばれる製法で、柔らかい鋼と硬い鋼を組み合わせることで、両方の特性を持つ新しいタイプの金属が出来上がるのです。工程の最終段階では、表面のエッチングによってダマスカス特有のパターンが浮かび上がります。このパターンの流れるようなラインの形状は意図的に生成できないので、このモデルはひとつひとつが一点ものと言える非常にユニークな時計です。さらに裏蓋や尾錠、リューズもこのダマスカス模様の積層鋼材で作られています。
しかしながら、このスチールを時計ケースに使用することは、耐腐食性の観点から考えるととりわけ困難なプロセスであることは言うまでもありません。この難題を克服するため、この時計のケースでは歯科インプラント治療にも用いる2種類のハイグレード・ステンレススチールを鍛造で溶接しています。高いグレードの合金鋼の製造には、比類ないほどの耐腐食性がすでに証明されている最新の原材料を使う必要があります。ジンの長年にわたるパートナーであり、2000年もの歴史を持つ鍛造技術を進化させ現代に継承するBALBACHDAMAST(バルバッハダマスト社)が、時計ケースへの使用に耐えるダマスカス模様の積層鋼材を製造します。そして、ここで鍛造溶接されたスチールはジンのケース工房SUG(ザクセン時計技術社グラスヒュッテ)に送られ、圧延、ウォータージェット、削り出しという工程を経て、1点1点表面模様の異なるケースが生まれます。1800.S.GG.DAMASZENERは、プロ集団によって作り上げられた高い品質を誇る完璧なダマスカスウォッチです。
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