【No.016】地平線の果てに
こんにちは、ジン・デポ 渋谷の小出です。
今日は僕も愛用しているモデル756のお話です。
モデル756はアフガニスタンで
使用テストされていた!
2003年、アフガニスタンでの国連平和部隊の活動でドイツ連邦軍は現地の警察とともにカブールと周辺地区の治安を守る活動に従事していました。その際、使用テストされたのがジンのモデル756なのです。アフガニスタン山地の前哨地点からカブールの野戦補給地までの砂利道を、連邦軍のジープは長いホコリの尾を引いて走っています。エンジンカバーにはローマ字とアラブ文字でISAF、国際治安支援部隊と書かれた旗が立っています。ベンツのジープに乗った兵隊の一人には特殊任務がありました。腕時計のテストをする任務です。彼の名前はマルチン・ケルナー。腕時計はジンのモデル756です。
この時計のケースには、テギメント加工という窒素を使った浸炭加工が施され、セラミックと同じ1200ビッカースの硬度になっているため、非常に傷に強いのです。例えば、ナイフやドライバーといった物で引っかいてもまったく傷が付きません。また特殊なマグネチック・フィールド・プロテクション素材を使用することで驚異の80,000アンペア/メーター(1000ガウスまたは100ミリテラス)の防磁性能を備えています。これは腕時計の防磁性能を規程したJIS規格(B7024)の最上位グレード16,000アンペア/メーターをはるかに凌ぐもので、その防磁性能の高さがうかがえます。彼はこの腕時計を2カ月間、苛酷な条件で使い続けたのです。
季節は夏で、ここアフガニスタンの首都カブールでは、標高1800メートルという山地であるにもかかわらず、日中の平均気温が42度という酷暑なのです。そして夜にはなんと10度という寒さになります。ジンの時計のリュウズやボタンは新開発のD3という密閉システムで守られていますが、防弾チョッキの下の肉体は汗をかきますし、また湿度だけではなく、絶え間なく襲ってくる砂やホコリにも耐えなくてはなりません。
夜が来てカブールも静かになります。いまは外出禁止令が出ているのです。兵隊たちはパトロールに出ます。マルチンが勤務している野戦補給地の作戦本部では、無線通信の声が響いています。マルチンは昼も夜もジンの腕時計をはめ続けています。砂嵐のなかで、泥まみれで、そして彼と戦友たちが働きまた睡眠するテントのなかで。不発弾や不発手榴弾が処理される爆破場の中で、観戦武官を迎える国際空港の滑走路で。
2カ月後、マルチンは無事にアフガニスタンからドイツ本国へ帰還しました。ジンのモデル756も、あらゆる苦難を乗り越えて彼と一緒に帰国しました。そしてテギメント加工されたケースにもサファイアガラスにも、時計技師のルーペで見ても傷がまったく発見できませんでした。バンドの取り付け部分もまったく磨耗していません。ただしバンドの美錠にはテギメント加工を使っていないので磨耗していました。レザーバンドにも磨耗があリました。しかし、時計の内部には何の変化もなく、計測器で調べたところ何と1秒以下の誤差だったそうです。
Model 756
参考商品
自動巻きETA Cal.7750。デイト表示。Arドライテクノロジー。ジン特殊オイル66-228。マグネチック・フィールド・プロテクションによる80,000A/mまでの耐磁性能。1200ビッカーズの高硬度が施されたテギメント加工のステンレススチール製のケース&ブレスレット/またはカウレザーストラップ。ケース径40mm。ケース厚さ14mm。20気圧防水。
いまご購入できるモデルはコチラ!
Model 756.DIAPAL
¥600,000(税別)
ダイヤルの3・6・9・12を強調した「コックピットクロック」の視認性、驚異の80,000A/mというマグネチック・フィールド・プロテクションによる防磁性、テギメント加工による硬度性を備えたシリーズの基本モデル756のクロノグラフに、ジン社独自のテクノロジーであるディアパル・システムを搭載した画期的なモデルです。「ディアパル」は金属と金属の硬度の違いで摩擦を減らす技術です。このシステムの採用で、ムーブメントの耐久性を高めるとともに、オーバーホールのインターバルを通常の約2倍へと伸ばすことが可能となりました。UTC針を備えていますので、二ヵ国の時間表示によりビジネスユースにも最適です。
Model 757
¥480,000(税別)
モデル757は、コックピットクロックのダイヤルデザインを特徴とする756のクロノグラフに航空用の回転ベゼルを付加機能として装備したパイロットクロノグラフです。この回転ベゼルは一般的なはめ込み式でなく、ジンの技術スタッフによって新しく考案された三重ベアリングを使用した画期的な方法により装着されているので、どんな悪条件のもとで酷使されても絶対にケースからはずれることはありません。さらに上空12,000mまでの負圧耐性も持ち合わせています。ジン・テクノロジーがふんだんに盛り込まれたプロ用にもアマチュア用にも適した汎用性のあるモデルです。
Model 856.B
¥325,000(税別)
856.Bは、UTC(デュアルタイム)機能付きの856のUTC機能を廃した刻時に特化したモデルを、というジンファンの強い要請によって生まれたモデルです。これにより、シンプルな三針モデルで代表的な3つのジン・テクノロジーの、マグネチック・フィールド・プロテクション、Arドライテクノロジー、テギメント加工を備えた最強の腕時計が誕生しました。プロフェッショナルの高い要求に応えることはもちろん、一般のユーザーの要望にも応えるという、ジンの時計製作に対する真摯な姿勢が貫かれたモデルです。
Model 856.FLIEGER
日本限定50本
¥330,000(税別)
高い防磁性能を備えた「マグネチック・フィールド・プロテクション」や、時計内部を除湿する「Arドライテクノロジー」、高い硬度を実現した「テギメント加工」というジン・テクノロジーを搭載した856シリーズのダイヤルは、コックピットクロックのデザインを映した3・6・9・12の大きなアラビア数字のインデックスが特徴です。この4ヵ所のみだったアラビア数字を、12時位置のマーカーを除いたすべてをアラビア数字にし、その名の通りドイツのクラシックなパイロットウォッチのスタイルを採ったのが、この856.FLIEGERです。テギメント加工により硬化させたステンレススチール製のケースはヘアライン仕上げを採用しています。ダイヤルの6時位置には、このモデルが搭載する3つのテクノロジーのマークが印されています。
Model 856.FLIEGER.Ⅱ
日本限定50本
¥340,000(税別)
856.FLIEGER.IIは、ファーストモデル856.FLIEGERと同様にテギメント加工を施したサテン仕上げのケースを採用し、細身のアラビア数字のインデックスを備えています。ファーストモデルと異なる点は、11個のアラビア数字だったインデックスを、レギュラーモデルと同様の4ポイントを強調したスタイルにしています。また、使用感と安全性を考慮しリューズを通常とは逆位置の9時位置に配したスタイルもファーストモデルと異なる点です。さらに856シリーズが共通で搭載している3つのジン・テクノロジーは、このモデルではダイヤルの9時位置にロゴマークで表示しています。ダイヤル6時位置に示されたドイツ語で“パイロット”を意味する「FLIEGER」の言葉により、アイデンティティーが強調されています。
Model 857.UTC.VFR
¥370,000(税別)
2016年3月に発効されたドイツ工業規格のパイロットウォッチの新規格DIN8330に準拠したクロノグラフです。有視界飛行方式(VFR)での航空のために、機能性、信頼性、安全性において高い要求をクリアし、ハンブルクにある認証機関SEACOTEC社によりテスト・認定されています。コックピット内の時間計測機器が故障またはその疑いがあるときに代替できるものであり、航行中の物理的負荷に悪影響を受けず、他の航空計器と互換性があることが保証されます。24時間表示式の第二時間帯表示が搭載され、Arドライテクノロジー、テギメント加工、ジン特殊オイルといったジン独自の技術により高い耐久性が保証されています。
2003年の発売時に僕が購入したモデル756は、知らないところで過酷なテストをしていたんですね。
地平線の果てにジンが見たものは、次世代へのあくなき探究と革新なのではないでしょうか。
写真/Sinn Spezialuhren GmbH
2020年2月22日/小出