【No.630】なぜドイツ製品は品質が良いのか②

いつもジンデポ渋谷のブログをご愛読いただいてありがとうございます。
皆さん。ジンジンしてますか?

ジンデポ渋谷の舘野です!!

 

 

前回のブログでドイツの文化や気質、習慣には私たち日本人とはかなり違った価値観があり、その価値観がドイツのものづくりに影響を与えている。といったお話をさせて頂きました。
今回はそのドイツのものづくりの根幹を支えているとも言える、「マイスター制度」について調べてみたのでそのお話をしたいと思います。

 

 

ドイツのマイスター制度。この言葉を耳にされた方も多くいらっしゃると思います。マイスターとはドイツ語で巨匠や名人を指す言葉で、専門的な技能や知識、経験を持った人をマイスターと呼びます。(日本に置き換えれば「親方」でしょうか?)その様な人材にマイスターの資格を与えて、支援や育成を行う制度です。
一定の技術や知識を持ち、国家試験に合格した人物をマイスターとして認定し、手当の支給や優遇措置を図ります。また、自身の技術研鑽だけでなく後輩の指導にあたることで技術の継承を目指します。日本と同様にものづくり大国であるドイツにおいて、後継者不足や伝統技術の断絶といった課題の解決を目指して開始された制度です。

ドイツのマイスター制度で取得できる資格は「手工業マイスター」と「工業マイスター」の2種類に分けられます。「手工業マイスター」には、製パンや酒造、木工家具など94種類。「工業マイスター」には情報技術者や自動車整備士、電気設備士といった300種類以上の職種が含まれます。

 

 

そしてこのマイスター制度の背景には、本人の特技や好きな分野を伸ばそうというドイツならでは教育制度で、その教育システムには昔ながらの徒弟制度が色濃く反映されています。
大まかに大学進学を目指すギムナジウムと職業訓練校であるリアルシューレの2つの進学コースに分けられています。そしてその特徴は、10歳前後でどちらの進学コースを希望するのか決めなければならないという事です。
いかがですか?わずか10歳で誰もが大学への進学を希望するか、職業訓練学校に行くか自分の将来設計を決めなければなりません。少々酷な教育システムだと思うのは私だけではないと思います。

ドイツでは義務教育を受ける年齢(6歳)で基礎学校(グルントシューレ)に入学します。基礎学校は4年制で、約10歳を迎えた子供たちは基礎学校を卒業しその後、この2つの道を選ばなければなりません。
大学に進学するための学校はいわゆる中高一貫教育に近いもので9年間通う事になります。職業訓練校に通う学生は週1~2日ほど学校で学び、残りの日は企業での実習を行う事で実務で必要なスキルを学びます。

 

 

時計職人もその例外ではありません。フランクフルトが属するヘッセン州の中で時計職人の実習できる企業はジン社だけです。毎年数名の学生がジン社で実務訓練を経て時計マイスターとして社会で活躍しています。
また、大学に通う学生も3か月以上のインターンシップを経験した後、就職することが一般的で、どちらも学校を卒業した時点で国家資格である「ゲゼレ」という資格を取得することが目的となります。一人前として育つまでは見習いとして、就学中にプロの仕事を学び学校を卒業した時点で、すでにプロとして手に職が就いている状態になります。

このようなプロを育成するこの教育システムがドイツ品質そのものの基礎になっているのだと思います。でも10歳前後で自分の将来を決めるなんて、ちょっと想像し難いですよね。これに疑問を感じる親も多いようで実際にはもう少し細かい選択肢があるようですが。

 

 

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。またおもしろドイツネタがありましたら、お伝えしたいと思います。引き続きジンデポ渋谷を宜しくお願いします。

 

いつもジンジンしていたい舘野でした!

 

2024年7月11日/舘野

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