【No.561】モデル856.Bの魅力とは?

皆さん、こんにちは。ジン・デポ 渋谷の小出です。
いつもブログをお読み頂き誠にありがとうございます。

今日はSINNを代表する3つのテクノロジーを搭載したモデル856.Bの魅力をご紹介します。

 

 

 

モデル856は抜群の視認性ですね!
大戦中の戦闘では時速650キロを越えるスピードで空中戦が行われており、強震、急上昇、急降下、急激な温度変化など、さまざまな環境に耐えなければならないコックピット内のパイロットにとって最も重要なことは、極限状態においても瞬時に読みとることのできる計器です。コックピットクロックも重要な計器のひとつであり、見て分かりやすいデザインとかたち、広い範囲から見える、見てすぐ理解できる数字などの有効性から、3・6・9・12が視認性の構成要素になっています。SINN社創業以来、軍用機や航空機に納入しているコックピットクロックで培われた視認性に優れた文字盤と針のデザインが腕時計にも使用されています。SINNの時計作りの原点はここにあるのです。

それではSINNを代表する3つのテクノロジーをご紹介します。

 

 

 

〈ここが凄い!その1〉
テギメント加工

耐傷性を確保する表面硬化技術

テギメントの技術は窒素を使った浸炭加工(ステンレスを熱して分子が開いたところに炭素と同時に窒素を拡散浸透させ、焼き入れして硬化させる浸炭窒化処理)を時計のケースとブレスレットに施すことにより、セラミックと同じ1200ビッカースの高硬度にする加工技術です。このことにより非常に傷のつきにくい素材を作ることができます。例えば、ナイフやドライバーといった物で引っかいてもまったく傷がつきません。また、マットやポリッシュなどケースの種類を問わずこの加工が可能で、この点も今までにない技術といえます。さらに金属内のニッケルが表面には出てこないといった特徴もあり、アレルギー体質の人でも安心して使用することができます。浸炭加工の技術は以前よりありましたが、改良・開発をして腕時計の分野に応用しているのは、SINNが世界で唯一のメーカーです。

テギメントの技術は、904LのステンレススチールとUボートスチールに採用されています。

 

 

 

〈ここが凄い!その2〉

マグネチック・フィールド・プロテクション

磁気による干渉を最小限に抑える

磁気が時計の精度に悪影響をあたえることに気づいたのは1960年代です。耐磁性能の時計が作られるようになりましたが、当時はパイロットやエンジニアなど専門職だけに使われていました。時計の構造は、軟鉄製のインナーケースを使用しムーブメントを磁力線から保護していたわけですが、時計ケースが必要以上に分厚くなるといった難点がありました。そこでSINNでは特殊な軟磁性材料のリングでムーブメントを囲み、文字盤と裏蓋にも特殊な軟磁性材料の使用することで、インナーケースを不要としたのです。現代はコンピューターや携帯電話など磁気を発生する電子機器がいたるところに氾濫し、時計の精度に悪影響をあたえていますが、これに対応できるのがこの80,000A/m=100mT=1000ガウスの耐磁性能です。

 

マグネチック・フィールド・プロテクションは、特殊な軟磁性材料の文字盤とリング、そして裏蓋の3つの構成により磁化を遮断しています。文字盤には耐磁性能を示す特殊なロゴマークΦが印されています。文字盤にこのマークがなく、裏蓋に「80,000A/m」の刻印が入る場合もあります。

 

ステンレススチールの裏蓋は磁石にクリップが吸い寄せられるのに対し、マグネチック・フィールド・プロテクションによる裏蓋は耐磁性能を発揮しクリップが吸い寄せられることはありません。

※ステンレススチールには磁石はくっつきませんが、特殊な軟磁性材料には磁石はくっつきます。

 

 

 

裏蓋には100mT(=80,000A/m)の刻印が入っています。耐磁時計のためのDIN(ドイツ工業規格)で定められた4.800A/m数値をはるかに超え、またJIS(日本産業規格)第2種耐磁時計の16,000A/mの5倍の能力を誇ります。
裏蓋はニッケルフリーの特殊な軟磁性材料を使用して耐磁性能を確保しているため、テギメント加工を施すことはできません。

 

 

 

〈ここが凄い!その3〉

Arドライテクノロジー

精度の安定をもたらすケース内の除湿機構

時計を湿気から守る除湿機構の「Arドライテクノロジー」を採用しています。機械式時計は、それぞれのパーツが円滑に動くよう潤滑オイルが使用されています。時計ケース内部の空気に含まれている湿気によりこの潤滑オイルが劣化すると精度に悪影響をおよぼします。Arドライテクノロジーは、時計ケース内の湿気を吸収する「ドライカプセル」の搭載、時計ケース内に希ガスと呼ばれる極めて安定した「プロテクトガス」を充填、通常のパッキンより水分浸透を最大で25%削減する「EDRパッキン」の採用という「3つの技術的要素」により、時計ケース内はほぼ無水の環境となります。ドライカプセルに吸収された水分量が増すにつれて、淡いライトブルーからネイビーブルーへと色が変化します。

 

ドライカプセルのカラースケールです。飽和度最大25%の淡いライトブルーから、特殊乾燥剤の色が最も濃くなるネイビーブルーの飽和状態まで、カプセルが湿気と結合します。

 

 

 

856.Bは、UTC(デュアルタイム)機能付きのモデル856からUTC機能を除き、刻時に特化したモデルを!というSINNファンの強い要請によって生まれたモデルです。これによりシンプルな3針モデルとなり、代表的な3つのジン・テクノロジーである「テギメント加工」、「マグネチック・フィールド・プロテクション」、「Arドライテクノロジー」を備えた最強の腕時計が誕生しました。プロフェッショナルの高い要求に応えることはもちろん、一般のユーザーの要望にも応えるという、ジンの時計製作に対する真摯な姿勢が貫かれたモデルです。直径40mm、厚さ11mmと装着感も最高です。ムーブメントはセリタ社のCal.SW300-1(自動巻/25石/28,800振動/パワーリザーブ42時間)を搭載しています。防水性能はドイツ工業規格DIN8310で20気圧(200m)防水です。上空12,000mまでの負圧耐性も備えています。

 

左は856.B、右はUTC機能搭載の856

 

 

 

ブラックハードコーティングの856.Sシリーズもあります。
左は856.B.S、右はUTC機能搭載の856.S

 

 

 

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2024年1月11日/小出

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