【No.483】それはコックピットの計器からはじまった!model 103.B.AUTO

皆さん、こんにちは。ジン・デポ 渋谷の小出です。
いつもブログをお読み頂き誠にありがとうございます。

 

今日は優れた視認性、刻時・計時精度を誇るきわめてシンプルなダイアルを備えた実用的なクロノグラフ。まさにSINNの基本精神を表すmodel 103.B.AUTOのお話しです。

 

 

1960年代の半ばにはすでに誕生していたmodel 103の手巻き式クロノグラフ。現行モデルとの違いは時計ケースの形状、リュウズガードがない、曜日表示がない、またSinnロゴの書体も若干異なりますが、基本コンセプトやデザインは当時も現在もまったく同じです。スタンダードモデルだからこそ長い製品生命を保つことができるのです。

 

 

1985年、日本から取材チームがヘルムート・ジン氏に会うためにSINN社の工房を訪れた時の出来事です。
ヘルムート・ジン氏は、机の中からパイロットウォッチの103とコックピットクロックを取り出して、彼らにこう言ったそうです。
「まったく同じデザインだろ。君たちにとって時計は時計だろうけど、パイロットにとって時計は計測機器なんだよ。」

 

(左) model 103.B.HD
コックピット・クロックに不可欠な優れた視認性と正確な刻時機能をそのまま継承するクロノグラフです。ベゼルにインデックス、はたまたダイアル全体のバランスまで、視認性に関係する全ての要素をそっくり受け継いでいます。

 

(右) model NaBo25
SINNがNATOの戦闘機に供給しているコックピット・クロックの文字盤です。世界中のパイロットから絶大な信頼を寄せられる計測機器です。こうして並べてみると、モデル103とのデザイン上の近似性がよく分かります。

 

 

それはコックピットの計器からはじまった!
model 103.B.AUTO

model 103.B.AUTOは、計時機器としての機能を追求したSINNを代表するスタンダードモデルのクロノグラフです。コックピットクロノグラフの基本デザインと技術を受け継いで、高い視認性と正確な刻時精度を誇っています。ケースをメタルブロックから削り出したステンレススチールを採用。そして、ねじ込み式の裏蓋やリュウズを採用して、高い防水性能と耐磁を備えている。信頼性の高さもSINNらしいシリーズです。

 

 

 

スタンダード・モデルだからこそ、長い製品生命を保つことができる!

SINNの腕時計はそれぞれのモデルがその使用目的に応じて設計・開発されており、様々な分野に適合する実用的な仕様を備えています。その中でも特に視認性や操作性と、高度な刻時性能を追求したモデルがこの103.B.AUTOです。

それらを実現するために、その開発コンセプトを航空機の計器に求めているのです。航空機に使われている計器はその用途から当然高い視認性を追求しており、それを見る側の者がダイアル上に示された情報を、許された時間内にどこまで正しく把握できるかということがいえるのです。単に分かりやすいという単純な言葉の中には、多くの要素が関係しています。

ダイアルのサイズとデザイン、ダイアルのカラーとインデックスの大きさ、その刻まれている間隔、針のデザイン、それにダイアルまでの距離やそれを見ている時間や姿勢、読みとったデータの記憶の有無等の様々な要素が複雑にからみあって情報を伝えているのです。

SINNの時計作りにおいて正確な情報の認識、高い視認性は最も重要なファクターであり、その答えが航空機の計器に結びついたのは決して偶然ではなく、SINNの創設者であるヘルムート・ジン氏のパイロットとしての経験によるところが大きいのです。

モデル103.B.AUTOは開発から60年近く経った今でも開発当時の基本形を作り続けています。機能性を追求したパイロットクロノグラフとして最も重要なことは、使用する人がそれをどう使うかであり、完成された機能性は変える必要のないことで、それ以上の機能は単なる飾りで、本来の機能を阻害するものとSINNでは考えているのです。

 

 

9時位置のインダイアルは時計自身の秒針です。センターの秒針はクロノグラフの秒針です。12時位置にはクロノグラフの30分積算計、6時位置にはクロノグラフの12時間積算計が配置されています。時計ケースは、メタルブロックから削り出した316Lのステンレススチールを採用。ねじ込み式のリュウズや裏蓋を採用して、200mの防水性能を備えています。

 

 

両方向にスムーズに回転するパイロット用ベゼルはアルミニウム製で、ブラックのアルマイト加工が施されています。アルミニウムは軽くて加工のしやすい金属で、鉄に比べて錆びにくい特性があります。しかし、素材が柔らかいため傷が付きやすいです。そこでアルマイト加工の出番です。アルミニウムを電解液の中で通電させることにより表面を酸化させます。そうすることにより、アルミニウムの厚さが増して、強度の高い酸化被膜がコーティングされます。アルマイト加工を施すと、耐腐食性や耐摩耗性に優れたアルミニウム素材となります。

 

 

風防は、1960年代にドイツ軍に要求された強化アクリル製の風防を装備しています。強化アクリル製の風防は、割れた時に時間のかかるガラス製の風防交換を必要とせず、ポリッシュによって簡単に傷を落とすことができ、常に実戦に使用できるため指定されたスペックです。また、強化アクリル製の風防は、弾力性があり割れにくい点が特徴です。強度を高めるためドーム型に成型されています。

 

 

ソリッドバックの裏蓋の中に搭載されているムーブメントは、Concepto社のCal.C99001(自動巻/25石/28,800振動/パワーリザーブ48時間)。当然SINN社にてリファイン、チューンナップされており、正確に時を刻みます。さらに、耐磁性能はドイツ工業規格DIN8309で4,800A/mで、磁気を発生するものから5cm離していれば磁気帯びしません。防水性能はドイツ工業規格DIN8310で20気圧(200m)防水です。さらに、上空12,000mまでの負圧耐性(約 0.8気圧)も備えています。

 

 

スーパールミノーバは、屋外では太陽光のもとで瞬時にフルチャージされます。曇りや雨の日は30秒ほどかかります。屋内では蛍光灯(昼白色や昼光色)のもとで、30分ほどでフルチャージされます。ただしオレンジっぽく温かみのある光の色(電球色)では、なかなかチャージされません。暗所での発光時間はおよそ2〜3時間です。

 

 

ちなみに曜日表記は、ドイツ時計ですのでドイツ語となります。

 

 

 

オリジナルの特徴を踏襲して風防に強化アクリルを採用し、プッシュボタンもねじ込み式ではありません。またアルミニウムにブラックアルマイト加工が施された両方向回転ベゼルも、クリックのないはめ込み式となっています。さらにベゼルの目盛りの表記も初期型に倣い、時計回りに数字が記されています。ケースは直径41mm、厚さ15.5mmのステンレススチール製です。

 

僕が最初に買ったSINNは103.B.HDで、この自動巻きが発売される前の手巻きモデルです。もちろんレザーストラップ仕様です。
個人的にこのモデルにはカウレザーストラップが似合うと思いますが、メタルブレスレット仕様も人気は高いです。

 

 

 

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2023年7月6日/小出

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