【No.056】3・6・9・12の視認性

皆さん、こんにちは。ジン･デポ渋谷の小出です。

今日は、世界中を飛び回る人にとって有用性の高い24時間表示式のUTC機能を搭載した本格パイロットウォッチ、モデル857シリーズのお話しです。

パイロットにとって最も重要な瞬時の視認性を高めるため3･6･9･12のインデックスを強調した文字盤のデザインと、ジン社独自の特殊結合方式のパイロットベゼルを装備。上空12,000m負圧耐性も備えたプロユースの機能性と外観が特徴です。

〈視認〉
大戦中の戦闘では時速650キロを越えるスピードで空中戦が行われており､強震、急上昇、急降下、急激な温度変化など、さまざまな環境に耐えなければならないコックピット内のパイロットにとって最も重要なことは、極限状態においても瞬時に読みとることのできる計器です。コックピットクロックも重要な計器のひとつであり、見て分かりやすいデザインとかたち、広い範囲から見える、見てすぐ理解できる数字などの有効性から、3・6・9・12が視認性の構成要素になっています。ジン社創業以来、軍用機や航空機に納入しているコクピットクロックでつちかわれた視認性に優れたダイアルとハンドのデザインが腕時計にも使用されています。ジンの時計作りの原点はここにあるのです。

〈防磁〉
磁気が時計の精度に悪影響をあたえることに気づいたのは1960年代です。防磁性能の時計が作られるようになりましたが、当時はパイロットやエンジニアなど専門職だけに使われていました。時計の構造は、軟鋼製のインナーケースを使用しムーブメントを磁力線から保護していたわけですが、時計ケースが必要以上に分厚くなるといった難点がありました。そこでジンでは軟鉄製のリングでムーブメントを囲み、文字盤と裏蓋にも軟鉄製の素材を使用することで、インナーケースを不要としたのです。現代はコンピューターや携帯電話など磁気を発生する電子機器がいたるところに氾濫し、時計の精度に悪影響をあたえていますが、これに対応できるのがこの80,000A/mの防磁性能です。

〈硬度〉
テギメントの技術は窒素を使った浸炭加工を時計のケースやブレスレットに施すことにより、セラミックと同じ1200ビッカースの高硬度にする加工技術です。このことにより非常に傷のつきにくい素材を作ることができます。例えば、ナイフやドライバーといった物で引っかいてもまったく傷がつきません。また、マットやポリッシュなどケースの種類を問わずこの加工が可能で、この点も今までにない技術といえます。さらに金属内のニッケルが表面には出てこないといった特徴もあり、アレルギー体質の人でも安心して使用することができます。浸炭加工の技術は以前よりありましたが、改良・開発をして腕時計の分野に応用しているのは、ジンが世界で唯一のメーカーです。

model 857.UTC

視認性に優れた数字とバーの大きなインデックスは857シリーズのすべての時計に共通します。SS製のケースとベゼルにはテギメント加工を施して1200ビッカースの硬度があり、傷つきにくい点も同シリーズの特徴です。ジン社独自のArドライテクノロジーを採用。ケースは直径43.mm、厚さ12mmで、24時間の第２時間帯表示針を備える自動巻きのETA Cal.2893-2（21石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約42時間）を搭載しています。

model 857.S.UTC

上と同じく3針＋UTC針の自動巻きで、テギメント加工のSS製ケースとブレスレットの上にブラックPVDを施したオールブラック仕様です。1200ビッカースの硬度をもち、耐傷性に優れています。テギメント加工の上にPVDを重ねると、PVDの層が長期間にわたって安定して、表面のひび割れを防ぐことができます。また裏蓋はニッケルを含まないSS製で、金属アレルギーを起こしにくいです。また、決して外れることのないジン社独自の特殊結合方式のパイロットベゼルを装備しています。

model 857.UTC.VFR

2016年3月に発効されたドイツ工業規格のパイロット・ウオッチに関するDIN8330に準拠して作られました。有視界飛行方式（VFR）に求められる機能性、信頼性、安全性を満たしていることが、ハンブルクのシーコテック社によって認証されています。文字盤の6時位置にはDIN8330の認証マークが記されています。上の2モデルにはないSINN特殊オイル66-228（－45℃から＋80℃での精度保証）を採用。ケースはテギメント加工を施したSS製で、デュアルタイム機能をもつETA製自動巻きのCal.2893-2を搭載しています。